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Seattle ラーメン紀行: Samurai Noodle [徒然]

何気なく「Seattle ramen」で検索したら、結構あるのね。Seattle まで行かなくても、この街(Bellevue という、Seattle と Washington Lake を挟んだ対岸です)にもあるぞ。しかも結構評判が良い。だけどそこはラーメン屋っていうよりも、日本食レストランのメニューのひとつにラーメンがある、って感じみたい。まあそのうち行くとして、今日は Samurai Noodle に行ってみた。

Samurai Noodle は二軒あるみたい。今日行ったのは Univ of Washington の近くのここ。

お店の中はごく普通の日本のラーメン屋さん、といった雰囲気。今日はとんこつラーメンに海苔トッピング、あと餃子をいただく。

餃子は小ぶりのが5個。具が肉主体でほとんど野菜っけがないのは、アメリカ人の好みに多少合わせてあるのかもしれない。餃子の具は野菜が主役だと思うんだけどな。でもまあ、全然悪くない。というか結構うまい。

さて問題はラーメンだ。麺は博多?長浜ていうの?九州でよくあるストレートの細麺。硬さは注文時に soft / medium / hard から選べるが、今回は medium で。九州ラーメンのこの麺って、東京のに比べるとなんとなーく粉っぽいような気がするんだけど、そのあたりも含めて日本で食べるラーメンと全く同じ。
スープは完全不透明の白濁とんこつ。見た目からしてこってりかと思いきや、それほどでもない。油もほとんど浮いていない。あっさりとまでは言わないが、あまり自己主張はしない少々薄味のとんこつスープだ。
ここに厚切りのチャーシューと、トッピングを頼んだ海苔が乗っている。関東で海苔を頼むと大判の焼き海苔を10枚くらい、時には麺が見えなくなるくらい大量に入れてくれるが(そりゃ六角家だけ?)、今回は旅館の朝ごはんに出るサイズくらいの海苔が5枚ほど入っていただけ。海苔ってこっちだと高いのかな?チャーシューは厚みもあり、味も程良く染みていて大変おいしい。

総評としては、これと言って強烈なインパクトはないが、真面目に基本を抑えたラーメンといったところ。超ローカルで申し訳ないが、武蔵小杉駅前バスロータリにある「なんちゃっ亭」をマトモにした感じといえば、分かる人には分かるだろう。余談だが、なんちゃっ亭はすごいぞ。初めて行ったのが1997年頃、最後に行ったのはこっちに来る前の2008年だからその間11年、店員が全員マトモだったことがない。言われないと何もしない、注文を間違える、厨房からホールに出て厨房に帰るまでの間に2つ以上のことはできない、などのスーパー使えない店員が必ず一人はいる。あのお店は慈善事業かなんかなんだろうな、きっと。

閑話休題。Samurai Noodle は尖ったところのない分、気負わずにさっと行けるタイプのラーメンと見た。アメリカでこのできなら合格点をあげていいとおもう。次回はチャーシューをトッピングしてみたい。

しかしクルマで30分圏内に10件以上ラーメン屋があるなんて。奇跡としか言いようがない。
西海岸恐るべし。

大陸横断ドライブ あとがき [徒然]

ハレはいつしか終わり、再びケが始まる。

東海岸から西海岸への大陸横断ドライブを終えて一日、大陸横断の間に考えたこと、感じたことなどをばらばらと書き記したい。

アメリカはでかい


なにを置いてもまず言えること。それは「アメリカはデカい」ということに尽きる。
3300マイル、5290km。Boston から Seattle、つまり北米大陸を東西に横断するにはこれだけの距離がある。昨日も書いたが、これは東京に行くとインドのニューデリーに少し届かないくらい、南はパプアニューギニア、北東を見るとアラスカくらいの距離に相当する。どこもクルマで行くなんてとても想像できないくらい遠いが、アメリカはその距離がずーっとひとつの国なわけだ。もうデカい以外の言葉はない。ホント、デカいよ。

そこに住んでいる人達


なんにも無い平原にも街がある。正直、一体何をして暮らしているのだろう?と思う。人間ってのはしたたかなもんだ。
South Dakota の片田舎にあるガソリンスタンドに寄った時、売店で飲み物を買った。なんとなく、本当にかすかにだが、警戒しているというか、店員さんが身構えているような気配を感じた。ガソリンスタンドにいた時間は給油と買い物をしている間だけだからほんの15分くらいのものだが、その間にやってきた人たちはみな地元の人らしき白人ばかりだった。よそ者の、しかも見慣れぬアジア人がやってきたので奇妙に思ったのかもしれない。都市部にはいろんな人がいるが、田舎は日本と変わらず狭い世界なんだろうね、きっと。

アメリカの中の日本


Idaho の Coeur d'Alene で TAKARA という日本食レストランに寄ったらオーナーが日本人だったという話を昨日書いたが、こんなところにも日本人がいることに少し驚いた。日本食はすっかり市民権を得ていて、ちょっとした街なら一軒は日本食レストランがある。その多くは中国、または韓国人が経営しているのだが・・・それはさておき。日本の印象といえば未だにハイテクが一番に来るようだが、アメリカで最も定着している日本文化は実は料理なのかもしれない。しかし TAKARA はお客さんいなかったな・・・忠実に日本風なのはウケないのかな。


Miata


日本では初代(NA 型)の Miata、というかロードスターに乗っていた。そのあと RX-8 に乗っていたがこちらに来てからまた現行型(NC 型)の Miata に乗り、今回大陸を横断した。代が変わってエンジンも車体も大きくなってはいるが、乗り味はきちんと保たれているのは本当に素晴らしい。屋根を開けたときに「ああ、これが本当の姿なんだなあ」と思わせる何かがあるのも、初代から変わっていない。「このクルマじゃあ、大陸横断には小さすぎるんじゃないの?」とも言われたが、全くそんなことはなかった。確かに荷物は乗らないが(それでも初代に比べるとかなりマシ)、走らせることそのものが楽しい Miata こそ長距離ドライブに向いているような気がしてならない。どうせ一日十何時間も運転するんだったら、楽しい方がいいよね。
長い旅を終えて、まさに人馬一体の心境だ。早くオイル替えなきゃ。

便利装備


今回の旅で一番役立ったものは、Android のスマートフォン(Nexus One)だ。電波さえ来ていればメールは読める、地図で現在位置の確認と Latitude での発信はできる、写真を Twitter に送れる、ラップトップ PC に USB または WiFi でつなげば PC からネットワークが使える、などなどなど。もうホント便利。今後は Android なしの旅行なんて考えられない。ただ、あくまで「電波が来てれば」という前提付き。Nexus One は一旦圏外に出ると圏内に戻ってきても自動的に電波を捕まえることができないことがあるようで、South Dakota~Wyoming あたりでは一日中ホントに電波が来てないんだと思ってた。この時は単なるメモ帳と化して全くの役立たずだったな。
ディスプレイを灯けてるとあっという間にバッテリーが空になるけれど、そこは今回、第二の便利装備ラップトップ PC でカバーした。このラップトップ PC は USB コネクタのうちひとつが電源を落としていても給電されている。おまけに補助バッテリも積んでいる。道中 Nexus One はこの USB ポートにつなぎっぱなしにしてた。一日使ってもラップトップ PC のバッテリは10%くらいしか減らなかったので、10日間くらいは保つ計算だ。
ま、シガーソケット~USB アダプタ買えば済む話ではありますがね。

IT


「便利装備」で書いたように、電波が来ていれば Nexus One でネットワークにつないでリアルタイムで友人とやりとりができる。バーチャル的に一緒に旅行している気分だ。IT で楽しさアップというのは、IT 本来の正しい(楽しい)使い方だと思った。


とりとめないけれど、これで本当に大陸横断ドライブ記は終わり。
応援してくれたみんな、本当にどうもありがとう。

2010/10/07 追記:
ルート図。参考にどうぞ。


大きな地図で見る

大陸横断ドライブ 5日目(最終日) [徒然]

いよいよ大詰め、大陸横断ドライブも最終日(の予定)。Montana 州 Butte から Seattle まで残り600マイル、一気に飛ばすぜ!

Montana は生憎の空模様。昨日の夜の道は山っぽかったけど、またもや道は平原の真ん中を真っ直ぐ貫いている。
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給油のために Missoula という街に立ち寄る。気の利いたレストランでもあれば入ろうかと思ったけど、なんにもねー。いや正確にはあるんだけど、Mac とか Burger King とか Pizza Hut とか、どこ行っても代わり映えしないんだよねえ。
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Missoula を抜けると道は俄然山道っぽくなってきた。ロッキーか?ロッキーなのか?でも昨日結構登った気がするんだよね。真っ暗で周り何にも見えなかったからよく分かんないけど。もしかしてもうロッキーの山中なんだろうか。
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日本だと山は森になってるものと相場が決まってるけど、アメリカだとこういう木の生えてない山をよく見かける。隣の山には生えてるのに、なんでこの山には生えないのだろうか。放っとくと勝手に木がじゃんじゃん生える日本ほど恵まれた気候じゃないってことなのかな。
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Idaho が近づいてくると、下りが始まった。やっぱり昨日の夜にかなり登ってたらしい。だけど、それにしてもこれは下り過ぎだろう。長い長い。100マイルかそれ以上ずーっと下り。そんなには登ってないと思うんだけど。もしかして北アメリカ大陸って、ロッキーのあたりから東に向かって緩やかに傾いてるんだろうか。3000マイルかけて徐々に登ってきたならこのくらい下ってても納得だけど・・・。
山道でカーブが続くため、ところによっては 45mph に速度が制限されている。しかしそこまで 80mph とかで飛ばしてきたので、みんなその感覚のままなのか 70~80mph ですっ飛ばして下りて行く。なんかこういうところって Toyota Camry とか Hyundai Elantra とかのミドルセダンに限って飛ばしてる印象があるんだよな。あの手のクルマは限界直前までドライバーに安楽な夢を見せてくれるから、怖くないんだろうね。Miata は色々伝わってくる上に路面があんまり良くなくて結構跳ねるので、ここの高速コーナリングはちょっと怖いです。
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がーっと下りて少し登った峠の頂きが Montana と Idaho の州境。ここからまた下る。
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下り切ったあたりでナイスな湖に出る。Coeur d'Alene 湖というらしい。予定してなかったけど、素敵な予感がビンビンなのでハイウェイを降りてみる。街の名前も Coeur d'Alene だ。
Google Map の日本語表記を見ると、町の名前は「カー・ダレーン」で湖の名前が「コウー・ダリーン」なんだけど。ホントはなんて読むんだ Coeur d'Alene。
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ちょうど昼飯時なので、街の中心に行ってみる。Google Map でレストランを検索してみたら「TAKARA」といういかにもな名前の日本食レストランがある。まー、Idaho の田舎町(かどうかホントの所は知らないけど)だからねえ。あんまり期待しないで行ってみることにしよう。

これが TAKARA。昼時だってのに客が一人もいない・・・大丈夫か。
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メニューには日本語も書いてある。しかも間違ってない。なかなか勉強熱心だ。よろしい。ではトンカツとやらを頼んでみましょう。
ホントはカツ丼が良かったんだけど、以前カナダで大変面白いカツ丼が来てしまったことがある。カツを綴じる卵はなぜか白身だけ、しかもハードボイルドで、そのカツとご飯の間にはキャベツの千切りが敷いてあり、そばつゆ的な汁っ気一切なしというものだった。見た目も味もカツ丼じゃないんだけど、一体どうしてこうなったのか。そんなトラウマを抱えているので日和ってトンカツにしておいた次第。

みそ汁が出てきたので口をつけてみる(みそ汁はアメリカではスープ扱いなので、最初に出てきます)。うむ。本出汁系の味だな。悪くないぞ。Boston のうちのそばの日本料理屋はみそ汁にラー油が入ってたからな。とかなんとか考えていたら、カウンターの中で働いていた人が「どっこいしょ」と口にした。なんですと。ホントに日本人がやってるのか?こんな片田舎で?(いや、だからホントに田舎かどうかは知らないんですが)
絶対中国人か韓国人がやってる店だと思ったのに。

で、肝心のトンカツが、これがまた完璧な日本のトンカツ。しかもうまい。マジですか。バカにしてましたすいません。
見た目からして驚いたので、出てきた時点で写真を撮るのを忘れた。なので写真は食べかけのものです。
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いやー参った。ウェイトレスさん(こちらはアメリカ人でした)に聞いたら、やっぱり日本人がオーナーで料理人も日本人なんだと。そうですか。しかしなんでまた Idaho で。事情はよく分からんけど美味かったからいいや。しかも安いし。
皆さんも Coeur d'Alene にお越しの際はぜひ TAKARA にお立ち寄りください。

その後ちょっとだけ湖畔に出てみた。観光地なのかな。よいところです。TAKARA もあるしね。
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さあいよいよ Idaho を抜け、最終目的地 Seattle のある Washington 州に入った!残りは約300マイルだ!
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行き先案内の看板にも、ついに Seattle の文字が。ゴールは近いぞ。
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なんか Washington 州に入ったとたんに交通量は増えるわ四車線になるわで、急に都会の雰囲気。やっぱね、俺の住む州はこうじゃないとね。シチーボーイなのでね。

・・・と思ったんですが早とちりだったようです。単に Spokane という大きな街を通っただけで、そこを抜けたらまた何にもない土地に出ました。
Washington マジ荒野。牧場すらない。ほんとに何にもない。South Dakota のこと笑えない。
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そんな荒野の真っ只中でガスが切れかかる。アメリカのハイウェイ(というか、interstate という州間高速道路だけかもしれない)は、出口の前にその出口近くにどんなホテル、レストラン、ガソリンスタンドがあるのかサインが出る。周りに全く何にもないように見えるが、Sprague という出口にスタンドのサインが出た。信用して降りてみると、確かにあった。
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ここは西部の最果て、Sprague。スタンドの店主が言うには、
ここも金が出た頃は賑わってたもんだけどね。今や流れ者が住み着く無法の街さ。この間も保安官が撃ち殺されてね・・・。ところでダンナ、見ない顔だけどどっから来なすったんで?

だそうだ全部妄想。

最後の給油を終え、逃げ水をひたすら追う。前のクルマは陽炎に霞んでいる。
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アメリカはトレーラーもデカい。なんと三連結だ。頭(エンジンとか運転席とか)の後ろに貨物を乘せる部分が三つ繋がっている。これバックできないんじゃないのかね?
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クルマ関係でもう一つ。全然アメリカと関係ありませんが、トヨタの名車新旧揃い踏み。右が初代 MR-2 で左が現行型 Prius。並んで走ってたので思わず写真を撮ってしまいました。
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「Scenic point」とか看板が出てたので寄り道。解説看板には「Echo & Wanapum viewpoints」とあった。絶景かな。でもやっぱなんもない土地ってことだよね。
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Minnesota にもあったが、Washington でも風車の群れを発見。場所は Ellensburg というところあたり。羽根はバカでかいので、ゆるーりゆるーりと回っている。
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いよいよ Seattle が近づいてきた。残りあと100マイル!
Seattle の下に地名が追加されることはもうないのだ。なぜならこの道は Boston から Seattle までだから。
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なんと最後にまた山道があるとは。あと道路に溝みたいなの掘るのやめてくれよ走りにくいから。
「Exit 70」とあるのは、州内の起点(東西の道路では西の端)から70マイルにある出口、という意味。
つまり Seattle まではあと70マイル!
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Boston から Seattle までは約3000マイル、5000km の道のりだ。5000km といえば東京からインドのニューデリーくらいまで行ってしまう距離だ。その間陸地がずっと続いているアメリカはやはり広大としか言いようがない。西部開拓時代、大勢が西を目指し、中には何世代にも渡って西へ西へと移動していった家族もあったことだろう。常に新しい地平を切り開こうとするアメリカ人の気質は、その歴史から受け継がれたものに違いない。

あと50マイル!
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その長い距離を走り抜いて、Miata は少しも音を上げずますます快調だ。やっぱり Miata は最高だ!
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道中、Twitter やらこの blog やらで、Boston や日本の友人とリアルタイムにやりとりができた。それがなければこの旅はもっと味気ないものになっていたに違いない。これこそ IT 本来の目的、つまり人と人とを結びつけて幸せにするということそのものなんじゃなかろうか。

あと20マイル!
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Twitter にリプライしてくれた方、メールやメッセージを送ってくれた人、Google Latitude で今どこにいるのかチェックしてくれた人、みんなありがとう。なんだか皆で旅したみたいだ。

あと10マイル!
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夕日に向かって走るのもこれが最後だ。あの夕日の沈むところに目指す場所がある!
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ゴール!太平洋に到着!走りきった。走りきったぞ!
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本日のテーマソング: Been A Son (Nirvana)
Seattle といえば Nirnava しかないでしょう。 でも旅程中一番聴いてたのは「わたしの恋はホッチキス」だったりするのは社会的地位が ダメになるおそれがあるため極秘。

本日の走行距離: 607miles (971km)
総走行距離: 3306miles (5290km) ... Boston~Seattle 完走


大陸横断ドライブ: 完

大陸横断ドライブ 4日目 [徒然]

今日は朝の6時に電話がかかってきて叩き起こされた。なにかと思ったら銀行からで、カードが怪しい使い方されてるけど大丈夫?という問い合わせだった(銀行のカードは ATM、デビット、クレジットの三種類がひとつになっている)。どうも登録上の住まい(Massachusetts)から遠く離れたところで使われているのでカード自体か番号が盗まれたのではないかと疑っているらしく、念のため一時的に使用停止にしているとのこと。今まで出張で使ったりしたけど、特に問題なかったんだがな。本人が使ってますよということで使用停止を解除してもらった。電話は音を鳴らさないようにしてることが多いんだけど、たまたま鳴るようにしてあったので着信に気づけて良かった。カードがないとこの先死ぬもんな。危ない危ない。

友人T一郎が Holiday Inn Express を薦めるので泊まってみたんだけど、なかなか良いね。$100 以下でちゃんとしたベッドメイクとアメニティのある部屋に泊まれて朝食まで付いている。だからもうちょっとゆっくり寝てたかったんだけどなあ。

せっかく早く起きた、というか起こされたので、ちょっと早めに出ることにしよう。今日は Yellowstone 国立公園に行くのだ。といってもなんだかんだやってたら8時過ぎちゃったけど。

Yellowstone へは I-90 で Livingston まで行って US-89 で南に降りるつもりだったんだけど、チェックアウト時にフロントの人にそう言ったらここ(Buffalo)から US-16 で西に向かうのがポピュラーなルートとのこと。なるほどそうすると Bighorn 国立森林公園も通れるからそっちの方がいいな。そうしましょう。

Buffalo からはものの10分も走るともう山並みが見えてくる。昨日まで何千マイルも平野だったけど、このあたりからロッキー山脈ということなのかな。
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Bighorn 国立森林公園の Ten Sleep という渓谷。解説の看板によると、数千万年前に海底が隆起したあと侵食されて今の形になったそうな。アメリカの山は基本的に岩山ですな。
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今日は快晴かつ山道ということで屋根は開放。やっぱオープンカー最高や(ただしこの季節に限る)。

Bighorn 国立森林公園を抜けてさらに US-16 を西に進む。Bighorn と Yellowstone 国立公園の間はまたもやなんにも無い平原になっている。アメリカ平原多すぎ。
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平原にはポツポツとこんなポンプが動いていた。石油?水?どっちだろう。Ten Sleep 渓谷の解説看板にこの水脈はこのあと地下深くに潜るって書いてあったから、そこから水を汲み上げてるのかな。
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Bighorn と Yellowstone は地図で見ると近いんだけど・・・アメリカなめてました。近いといっても 100miles くらい離れてます。
Worland で US-16/20/433 を北上して、Greybull で US-14/16/20 を西へ、Cody を通って更に西に行く。その間は相変わらず平原と真っ直ぐの道が続く。
前も
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後ろも
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見事に真っ直ぐ。クルマもまばら。月曜日だからってのもあるかもしれないけど。

Yellowstone が近づいてくると、再び山がちになってくる。なんかいかにも西部って感じの岩山だ。これなんてもう、映画のセットかよってくらいの西部的岩山。馬もいるし。
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これも。
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2時間くらいクルマ飛ばしてようやく Yellowstone 国立公園の入り口に到着。入り口にはゲートがあって、入るのに $25 取られる。一週間有効だそうです。
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しばらく行くと道路になんか牛みたいのがいる・・・っておい。バイソンかよ。余裕で歩いてくるけど、こちとら屋根開けてまして。いやいやこっち来んな。
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野良、っていうか野生だよね。なんで道路歩いてんの。ちょっと飛ばし気味に走ってたけど、ゆっくり走ろう。バイソンはねたら洒落にならん。

なぜか木がやたら立ち枯れている。なんでかな?森林限界?だとするとそこまで育つはずないよな。新手の環境破壊か?
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しばらく行くと風光明媚な湖に到着。Yellowstone Lake だそうです。砂利の浜辺があって、湖面まで降りられます。
なんでか知らないけど、湖って海に比べて「死んでる」感じがするよね。生き物の気配がないというか。潮臭くなくていいんだけど。そのちょっと不気味な感じがネッシーだのイッシーだのの伝説を生むんでしょうか。
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「Steam boat point」って書いてある杭が立ってるから何かと思えば、温泉の湯気が立ってるところみたい。写真にも湯気が写ってるね。ここから先は至る所で湯気が立ち上ってます。ここらって火山帯なのか?立ち枯れの原因は火山ガスか?

水辺に集うバイソンの群れ。さっきのやつははぐれバイソンか。
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ここら一帯はグリズリーの生息地でもあるそうです。解説看板には、危ないから絶対入るな、と書いてありました。グリズリーって何食べてるんだろう。なんか鮭とってるイメージだけど。バイソン襲ったりするのかな。

Yellowstone Lake のあたりで道が突き当たるので、右に折れて Grand Loop Rd を北上することにする。
と、ここで問題発生。私、幼少の砌から「突発性トイレ行きたくなる病」という不治の病を抱えておりまして、このあたりで発作が。だがしかし、国立公園にはトイレなんぞ滅多なことではないのであった。
Grand Loop Rd を内股で少し進んだところになぜか小さな GS 発見。Rest rooms の表示もある。ちょうどいいからガソリンも入れよう・・・と思ったら、ポンプ動いてない。ということは、rest room の矢印の先は。板が打ち付けられて塞がれたドアだよね。そうだよね。わかってたよこの展開。俺、ヨブ記のヨブとなんか関係あるんじゃないかと常々思ってるんだよね。
やばいぞ。このままでは立ち枯れの目立つ Yellowstone 国立公園の土地を肥沃な大地に変えてしまうぞ。
そのまま更に内股かつ前のめりで北上すると、大きな駐車場発見。おお。人あるところにトイレ有り。これぞ宇宙の真理。

かくして Yellowstone の自然は守られたのでした。

駐車場は温泉が湧きでて盛大に湯気が上がってるところの見物用だった。いい湯加減の温泉どころではなくて沸騰してるみたい。アメリカの自然はえげつないねえ。
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Grand Loop Rd は川沿いを走っているので、こんな感じでなかなかよい眺めの道になっている。
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Grand Loop Rd の Mammoth に至る手前は急峻なガケに挟まれた渓谷になっていて、橋が渡してある。渓谷には強い風が吹いていた。ここらで雨が降りだしたので屋根を閉めた。ほぼ一日中屋根開けて走ってたのは今日だけか。というよりも、「移動」じゃない「ドライブ」的に運転したのが今日だけなのか。
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雨は通り雨ですぐ太陽が戻ってきたため、山に綺麗な虹がかかっていた。写真を撮ってみたけど、見えるかな?
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また道になんかいる。なんだこいつは。シカか?このあたりは道端に「危険だから Elk に触るな」という看板が沢山出ていたのでこれが elk なのかな?しっかし野生の王国だな Yellowstone は。
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Grand Loop Rd から US-89 に入り更に北上すると、Yellowstone 国立公園の北出口、というか入り口だ。ここを抜け Yellowstone を後にするとすぐ Montana 州に入る。

Montana の山並み。なんか普通で安心するね。このあたりはこのあたりで Gallatin という国立森林公園になっているらしい。
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そのまま北上を続けて Livingston の街へ。ここで I-90 にぶつかる。
そういえば出発してからこの4日間、Mac やら Subway やらばかりで一度もまともなレストランで食事をしていない。Livingston にいいとこないかなと思って探してみたものの、アメリカらしくチェーンのファストフードばっかり。結局また Subway でサンドイッチをかじってしまった。

さて、今日のうちに Idaho 州まで行きたいが・・・もう7時だしちょっとムリかな。I-90 を西に、行けるところまで行こう。

Livingstone から西の I-90 は上り下りがかなりあってカーブの連続だった。二三個目の結構大きな峠を越えると、目の前に街の灯が広がっていた。
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Butte という街らしい。夜でなんにも見えないうちにロッキーを越えてしまうのも味気ないので、今日はここまでにしよう。早起きしたせいで疲れたし。Holiday Inn Express がここにもあったので当たってみたが満室。やっぱり人気あるのかな。二軒目にあたってみた Days Inn で空き部屋を確保。Holiday Inn Express よりちょっと高いけど、まあそれほどでもないしいいでしょう。WiFi もあるし。

さて、ここから最終目的地の Seattle までは残すところあと約 600 miles。ロッキーを一日で越え、予定通り明日中に着けるのか?ここまで快調の Miata は最後まで頑張り通すことができるのか?一度くらいはまともなレストランで食事することができるのか?

明日の最終回「太平洋は青かった(予定)」に刮目せよ。


本日のテーマソング: 東風(TONG POO)(YMO)
いやほら Yellow つながりと、東のほうから来ましたってことで・・・アルファベット順だとこのあと iPod に入ってるのが Yngwie でそのまま続けて聞いてしまったのだが、大自然に合わないことこの上ない。
本日の走行距離: 481miles(770km)
総走行距離: 2699miles(4318km)

大陸横断ドライブ 3日目 [徒然]

本日目指すは Mt.Rashmore。South Dakota を横断するのだ。

South Dakota...なんもない。ハイウェイの横は牧場か?だだっ広い土地が無限に広がっている。
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昨日、「よく写真で見る真っ直ぐの道は、選んで撮ってるんだよ」とお伝えしましたが、すいませんでした!South Dakota は真っ直ぐの連続でした。多少は曲がってるけど、20~30miles の直線なんて当たり前、ル・マンもびっくりの長距離バックストレート。これなら小型機どころか B-52 だって不時着可能。
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遠いことを「地平線の彼方」なんて言うけれど、走ってて思うのは地平線って意外と近いってこと。音楽一曲分くらいでもうさっき見えてた地平線を越えちゃう。でも西海岸はおろか、次の目的地に着くまでにだって幾百幾千の地平線を越えなきゃならない。恐るべしアメリカ。

と思ったら Chamberlain というところあたりで突然ナイスな湖発見。んー、寄って行きたいけどなあ。Mt.Rashmore が俺を呼んでいるので、写真を撮るだけでパス。
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あとで調べたら、湖じゃなくて川だったみたい。川もデカすぎて湖かと思うよなー。

しかし全く人影を見ない。建物もほとんどない。牛がいるから牧場だと思うんだけど、どうすんのこの牛たち?夜はその辺の露天で寝てるわけ?よくわからん。
道路脇には定期的にアライグマやスカンク、時にはシカの死体が転がっている。こんな平原にハイウェイ通せば、そりゃ動物たちは渡ろうとするわな。ちょっと可哀相だけど、一々拾って埋めてもいられないので見て見ぬふりをして通りすぎる。つうか誰かどうにかするのかねあれ。朽ち果てるまで放置なんだろうか。

Mt.Rashmore に近付くと、微妙に山がちになってきた。遠くに山並みが見える。もしかしてロッキー山脈ですか?地図で見てもどこがロッキー山脈なのかよく分からないんですが。
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人が全然いないせいか、携帯電話の電波が全く入らない。牛は携帯電話使わないからな。
Mt.Rashmore へは Rapid City というところで I-90 を降りて南に数十マイル向かう。Rapid City で Starbucks を発見。昨日から 300~400miles の間電波が入らず Twitter もこの blog も更新できていないので、コーヒーブレイクついでに WiFi につなげて昨日の分の blog を更新。マックもフリー WiFi あるんだったかな?もう大助かりですわ。こっちに来た頃、二三年前は日本ではほとんどフリー WiFi ってなかったけど、その後どうなの?

タイムゾーンはいつの間にか山岳時間になっていた。South Dakota は州の中にゾーンの境目があるんだな。一時間のボーナスタイムだ。

Mt.Rashmore への道は日本みたいなワインディングロード。ただきっちり二車線あります。あと制限速度が 60miles/h(約100km/h)。60miles/h だと結構飛ばす感じだけど、みんな平気で制限速度以上で走っている。「あの青いスポーツカー、遅っせ」とか思われてるに違いない。
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とうちゃーく。駐車場は $10 取るんだけど、一年間だか2010年のうちだかは、二回目以降はチケット見せれば何度来てもタダなんだと。素晴らしき愛国心醸成装置 Mt.Rashmore。
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じゃじゃーん。アレです。左から、ジミー・ベイン、コージー・パウエル、リッチー・ブラックモア、ロニー・ジェイムス・ディオ。嘘。しかも一人足りない。
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手前の旗が並んでるところは 50 州各州の旗で、台座には合衆国に入った年と順番が書かれている。旧宅と新居の州を見てみよう。

まず旧宅の Massachusetts。
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あれ。一番目じゃないんだね。最初の13州のうちの一つで、独立運動のきっかけになった「ボストン茶会事件」、独立戦争の火蓋となった「レキシントン・コンコードの戦い」、それに確か独立宣言が読み上げられたのも Boston で軒並み Massachusetts なんだけどな。意外だ。

続いて新居の Washington。
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42番目。西海岸だし、まあ妥当なところか。

さて一番目を探してみたら、ありました。
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Delaware...デラウェア?あんまぱっとしないなあ。なんか特別な意味があるのかな。あとで調べてみよう。

ところでこの旗、ひとつの台座に州が4つずつでアルファベット順に並べてあるんだけど、今後州が増えたらどうするんだろう。全部作り直しになっちゃうんですが。

ショップでお土産も購入。こんなのがあったら買おうと思ってたのとバッチリなのがあった。
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んー、Mt.Rashmore は観光地だけあってモーテルもいっぱいある。もうここで一泊しちゃおうかな・・・と思ったけど、あとが苦しくなるので今日のうちに South Dakota を抜けて Wyoming 州まで行くことにする。日も傾いて涼しくなってきたので、景気付けに屋根を開ける。
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屋根を開けると風のせいか少し疲れるので長距離ドライブではあんまり開けないんだけど、今日は快晴だし気温もいい感じ。South Dakota はハイウェイの制限速度が 75miles/h と東海岸に比べて 10miles/h も速い。みんなちょい速度オーバーで走るので(このあたりは日本と同じだね)、流れのペースは 80~85miles/h(128~136km/h)になる。初期型のロードスターで屋根を開けてこの速度で走ると風の巻き込みでエラいことになったもんだけど、NC 型のロードスター(というか米国なので MX-5 Miata)は全然平気だ。暑くもなく寒くもなく快適だなー。

今日も夕日に向かって走る。トンボがやたらフロントガラスに当たる。許せトンボ。
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道中バイク数台の一団とランデブー。バイクの一団は途中の出口で手を振りながら降りていった。風を切って走る者同士、オープンカー乗りとバイク乗りは仲がいいのだ。

完全に日が暮れてからパーキングエリアに寄ったら、トイレも自販機もなんにも無い単なる「横道」だった。確かにパーキングはできますがね・・・
街灯もなくて、もちろん周りに民家もなんにもないので正真正銘の真っ暗け。ふと空を見上げると、今まで見たことがないほど沢山の星が空にある。天の川はちょうど天頂を南北に横切っていて、銀河中心の膨らみかわかるほどはっきり見えた。アメリカはデカい。そして宇宙はもっとデカい。
残念ながら星空の写真はなし。ISO1600、露光時間最長(8秒)でも写らなかった。カメラにレリーズモードがあればなあ。しかし人間の目ってものすごく感度がいいんだね。

Rapid City から 200miles ほど進んで、今日は Wyoming 州の Buffalo という街に泊まることにした。

ホテルに着いてもまだ携帯電話に電波が入らない。結構な街なのにおかしいなあ、と何気なくリブートしてみたら、あっさりつながった。おいおい、ずっと圏外だと思っちゃったじゃねえかよ!まったく。明日から怪しかったらリブートだなこりゃ。


今日のテーマソング: Born to be Wild(Steppenwolf)
アメリカの真っ直ぐな道にはこれしかないでしょう!

本日の走行距離: 603miles(965km)
総走行距離: 2218miles(3549km)


大陸横断ドライブ 2日目 [徒然]

せっかく来たからには Chicago の象徴、Willis Tower に上ろう。
Willis Tower はアメリカで一番高いビルだ。2003年くらいに台北のビルに抜かれるまでは30年ほど世界一高いビルだったはず。にしては名前が知られていないって?それもそのはず。数年前に名前が変わったらしい。以前の名前は Sears Tower で、こちらの名前は知っている人も多いのではないかと思う。子供の頃、学研の秘密シリーズの一冊に Sears Tower のことが載っていたのを覚えている。9つのブロックを組み合わせて建設されたことなどが書かれていた。世界にはすごい建物があるもんだなー、などと思っていたが、まさか本当に来ることになるとは当時は夢にも思わなかった。
01_willis_tower.jpg

$15 で103階の展望台まで上れる。朝一で行ったので、並ばずにすんなり入れた。展望台行きのエレベータには大きなディスプレイがあって、現在の高さと、その高さと同じ世界の有名な建物が表示される。その中に横浜ランドマークタワーが出てきたのだが、そんな有名かね?日本は地震があるから今ひとつ高い建物は建てられないよなあ。

エレベータは微妙に揺れるもののすんなり103階に到着。こちらは北東側の眺め。わはは。人がゴ(略)
しかし Chicago は高層ビルが多いなあ。
02_chicago_ne.jpg

こちらは南側・・・だったかな。たしか。Chicago は五大湖のひとつ、Michigan 湖のほとりにある街なので、向こうに湖が霞んで見える。
03_chicago_s.jpg

でもってこちらが今回のメインイベント。透明のテラス。1m くらい張り出していて、足元が見通せる。何年か前に設置されたらしい。
04_deck1.jpg

もう足元スケスケ。こりゃ高所恐怖症の人は怖いだろうなあ。
05-1_deck2.jpg

このテラスは西側に付いている。Willis Tower を下から見上げたのがこの写真で・・・
05-2_willis_tower.JPG

同じ場所からズームして撮ったのがこの写真。左側の壁に出っ張りが4つ見えるが、これがテラス。下から見るとかなり高いね。
05-3_deck.JPG

先を急ぐので、Chicago 観光はこれだけ。ホテルは Willis Tower の近くなので、歩いてとっとと帰る。
俺、高いところよりこうやって橋の横に隙間があったりする方が怖いんだけど。携帯電話とか落としそうで。皆さんはいかがでしょうか。
06_bridge_gap.jpg

Chicago は古きよきアメリカというか、60~70年代の雰囲気を残した街という印象だった。また来てゆっくり観光したい。
07_chicago.JPG

さー行きますよ。今日は Illinois、Wisconsin、Minesota を通って South Dakota 州まで行かねばならん。走れ走れ。途中ガソリンが切れそうになって焦ったりしたけどなんとか大丈夫だった。それよかなんとなく今日はクルマが重い気がする。と思ったら、Wiconsine 州に入ったら調子良くなった。Illinois の道路が悪いんだなきっと。雪の降る地域は除雪するせいでどうしても道が荒れる。Massachusetts なんてハイウェイに穴があいてたりするしな。

Wisconsin と Minnesota の州境は Mississippi 川だった。またもや水辺に惹かれてちょっとハイウェイを降りる。
09_misisippi.jpg

さすがにデカいぞ Mississippi 川。まるで湖だ。と思ったら、ここは特に川幅が広くて「Onalaska 湖」って名前が付いてるみたい。オナラスカ。なかなかナイスな名前ですな。

今日も西日が眩しい。夕日に向かってひた走る。
10_road_sunset.jpg
なんか皆が思い描く「アメリカの道路!」って感じだね。地平線まで真っ直ぐで。でもアメリカの道路も意外と曲がってるよ。よく見る真っ直ぐな道路の写真は、それの方がアメリカっぽいからわざわざそういうところを選んで写してるんだと思うんだよねきっと。

Minnesota 州で風車がやたら沢山並んでいるところを通る。全部で何基あるんだこれ?数百じゃきかないかも。走りながら撮ったので写真はぼけぼけですが。
11_windfirm.JPG

日は落ちたがまだ全然目標距離に達しない。写真はちょっと休憩したパーキングエリア。「Blue Earth」って、どんな地名だよ。ガガーリンの前はなんて名前だったんだこの街は。
12_blueearth.jpg

ハイウェイの左右は真っ暗で、まるで海にかかった一本橋を走っている気分。街灯なども一切ない。ハイビームにしても前がどうなってるんだかよく分からないので、なるべく人の後ろを走る。でもアメリカ人は平気で飛ばしてるんだよな。目がいいのか?

なんとか South Dakota に入った。今日は Sioux Falls のあたりで宿泊。あたったホテルが軒並み満室で焦ったが、四軒目で部屋を確保。おいおい Sioux Falls は AT&T の電波来てないぞ。安宿なので WiFi などなし。というわけでこれは翌日にアップしています。
明日は Mt.Rashmore に寄りたいから早く出なければならぬ。まだまだ先は長い!

本日のテーマソング: 北ウィング(中森明菜)
今更ながらだけど、中森明菜って結構歌上手いね。

本日の走行距離:595miles(952km)
総走行距離: 1615miles(2584km)


大陸横断ドライブ 1日目 [徒然]

世界の車窓から。今日は、New York 州 Palatine Bridge から Illinois 州 Chicago までの旅をお届けいたします。

朝9時に出発。あいにくの雨模様だけど、昨日の大雨に比べたらなんてことはない。かえって窓ガラスが綺麗になって良いくらいだぜ。
01_departure.jpg

しっかしモーテルってのはナンだな。具体的にこれか悪いってのはないんだけど、なんつーのかなあ。シーツに今ひとつ清潔感がないとか、もうちょっと南の方だったら宇宙生物G(六本足で空も飛べる)が出そうとか、そういう感じでして。やっぱちゃんとしたホテルはちゃんとしてるのね。

30分くらい走ったとこのサービスエリアで早速休憩。「この先 65 マイル ガスステーションなし」とか書いてあるのでビビって給油することにした。マックでブラウニーを買ってかじりながら運転を再開する。

2時間位走って、NY 州の Ontario ってとこで再び休憩。ついでに昼飯も食べておく。
下の写真はサービスエリアにあった「地元(?)の英雄 Frederick William von Steuben 男爵」の説明文。なんでもアメリカ独立戦争時の軍隊を鍛え上げた人で、その教本の基本的な部分は未だに軍人教育に使われているとか。
アメリカを旅すると、至る所でこういった先人を称える碑文やら銅像やらを目にする。それも地元のセンセイ!とかじゃなくて、軍人とかが多い。やっぱり(本来の意味での)偉人を尊敬して称えるってのは必要だと思うんだよ。
02_memorial.jpg

NY 州を延々と走る。走る走る走る!もう NY 州でか過ぎ。って NY 州出身の友人からテキストメッセージが来たのでそう返信したら、「Empire state だからね ;-)」だと。皇帝を呼べい!

Utica、Lakeland、Manchester、Buffalo などなどを通り、午後の3時くらいにようやく NY 州を抜けて Pennsylvania 州へ。PA 州はちょっとかすめるだけだけど、五大湖のひとつ Erie 湖畔まで寄り道してきた。ほんとにちょこっと寄り道して湖があることを確認しただけ。
03_erie.jpg

PA 州はさくっと抜けて Ohio 州に入る。街だ!Cleveland だ!
一昨年、Blue Angels の飛行と Rock'n Roll Hall of Fame 見物で来たんだけど、こんな都会だったとは。あの頃はまだアメリカの田舎に染まってなかったんだな。気付かなかった。
街中のハイウェイは平均速度が落ちるからやだねえ。こちとら先が長いんだから早く行かせとくれ。
04_cleaveland.jpg

んでまた走る走る!まだ OH だってのに日が暮れてきた。写真は Toledo のあたりで撮ったもの。西に向かって走っているので夕日がまぶしい。
05_sunset.jpg

OH 州の次は Indiana 州。IN 州のクルマはみんな 80miles/h くらいで飛ばしてる。さすがインディ500の地元だ。
途中、真っ赤な NB 型 Miata にぶち抜かれたので追っかけてランデブーしたりしつつ、Chicago まで行こうか今日はこの辺でやめとくか逡巡したものの結局 Illinois 州に入り Chicago 到着。Chicago はさすがに大都会だなあ。みんな運転が荒い、っていうか車線変更がビッ!ビッ!って速いぞ。首都高みたいだ。
遠くからでも見える目印、Chicago の象徴 Willis Tower を目指して走る。昔は Sears Tower って言ったけど、少し前に名前が変わったみたい。

着いたー。
06_chicago.jpg

Willis Tower のそばに Holiday Inn を発見。街中じゃモーテルもないだろうし、ちょっと(って言うか大分)高いけど今日はここに泊まりましょう。
部屋は昨日よりかなりマトモ。お湯も熱くなったり冷たくなったりしない。(笑)
07_holidayinn.jpg

いやーしかし今日は結構走ったな。けどこれが限度だな。Chicago に着いたのは10時過ぎくらいだけど、IN だか IL だかで東部時間から中部時間にタイムゾーンが変わるからこの時間なんであって、実質11時過ぎだもんな。途中休憩はしてるけど、運転時間14時間、走行距離 1300km って、東京からだと旭川まで行っちゃうぞ。しかしそれでもまだ全工程の1/3なのであった。やはりアメリカはでかい。


本日の走行距離:792miles(1267km)
総走行距離: 1020miles(1632km)


大陸横断ドライブ 0日目 [徒然]

さあ、Boston から Seattle、大陸横断ドライブの始まりだ!

元々は明日出発する予定だったんだけど、会社が急かすので今日の夕方出発して距離を稼ぐことにした。
せっかくの coast to coast ドライブ、出発点は大西洋でなければならない。Boston の海沿いにある South Boston WWII Memorial を起点とすべし。
atrantic_ocean.jpg

あとはひたすら I-90 を西に進む!I-90 は Boston から Seattle まで繋がっているのだ。

Framingham のサービスエリアにて夕飯。まだ一時間も走ってない。大きめの GuitarCenter があるので何度か来たことがある Natick よりまだ手前だ。先が思いやられる。しかし大陸横断に Miata(日本名ロードスター)ってのは、全く向いてないクルマだよな。
framingham.jpg

夕飯はマックだ。地域によってはマクドだ。さて、この先何食ハンバーガーを食べるんでしょうか?

このあとは俄然やる気を盛り返して、3 時間ほどぶっ続けで運転した。Worcester、Westfield、Lee(ここまで Massachusetts 州)、New York 州に入り Albany を通過する。Albany のあたりはワイパー最強でも前が見えないくらいの大雨が降ってて参った。アメリカの道路は水はけが悪くて水煙がすごい。トラックの後ろなんて走ろうもんならなんも見えねえ。
途中、トイレしかない休憩所でトイレ休憩したんだけど、たまたま先にいた人がやたらこっちを警戒してた。やっぱ夜のトイレはあんまり利用しない方がいいのかな。警戒されるのは構わんけど、物騒な人とは会いたくないもんな。

もうちょい走って Palatine Bridge へ。ここで 10 時を過ぎたので、宿探しのため I-90 を一旦降りる。

宿はこんな場末のモーテルに決定。怪しさ満点だけど・・・寝られればいいや。
motel.jpg

フロントの人が日本語教えろというので、「アリガト」「コンニチワ」を教えておいた。あんまり日本人っぽくない顔だね、だと。そうねえ。どっちかっつーと大陸系の顔かねえ、俺。
彼は・・・パキスタン人とみた!近所の GS で働いてたパキスタン人のにーちゃんに感じが似てるだけで当てずっぽだけど。

本日の走行距離: 228 miles(365km)
出発からの総走行距離: 228 miles(365km)

Windows 上の VirtualBox で実パーティション上の Linux を起動する [思想と科学]

新しい PC を買ってしまったせいで色々とセットアップをしている。引越し前だというのに。テスト前になると無性に掃除がしたくなるあの感覚と同じだな。
VirtualBox を使ってちょっと面白いセットアップをしてみたので、備忘録もかねてやり方を残しておく。そういえばこの手の技術(?)ネタって初めてかもね。実はエンジニアだったんですねワタクシ。

PC は Windows/Linux(Ubuntu) のデュアルブートにしているのだが、Windows で立ち上げている時にちょこっと Linux を使いたい場合がある。たとえば wget でバッチ的にファイルを落としたい場合なんかはシェルスクリプトを使いたい。あとはちょっとカーネルコンパイルしたい時とか(笑)。そんなときは仮想環境を使いたいわけだが、普通に Windows 上に仮想ディスクを作って Linux システムをインストールすると、既に Linux システム が入っているパーティションと Windows のディスク上の二箇所に似たようなシステムが存在することになってディスクの無駄遣いだ。ちょっと気の利いたスクリプトを書いて悦に入り、後日使おうと思ったらこっちのシステムにはコピーしてなかった、などという自分のアホさ加減を思い知らされる事態もできるだけ避けたい。
この課題をクリアするためには、Linux システム の入っている実パーティションを仮想マシンが rootfs としてマウントできればよい。VirtualBox にはその機能がある。すばらしい。

なお、Linux システムをネイティブで立ち上げて KVM で Windows を動かせば良いのでは?という意見も当然あるが、今回は二つの理由でそのアプローチを取らない。
理由1: Windows 上で使っている DTM ソフト(最近は DAW って言うのかな?)が結構マシンパワーを食うので、ネイティブ環境で実行したい。
理由2: 理由1により、Windows が入ったパーティションは残す必要がある。システムの二重化を防ぐためにはこのパーティションを仮想化環境から使うことになるが、Windows はハードウェアプラットフォームの違いに敏感なので、ネイティブ環境と仮想化環境で同じシステム(ディスクの内容)で実行できるか確信が持てない(そもそもアクティベーションし直しになるような)。Linux システムはその辺寛容で、多少ハードウェア構成が違っても適宜ドライバをロードして難なく走る。
(その昔、全然構成が違うマシンに HD を差し替えてブートしたら少々文句を言いつつも立ち上がってきて驚いたことがある)

VirtualBox で実パーティションを使う方法はマニュアルや、Web にもいろんなところに書かれているので要点だけ書いておく。

今回使用するディスクのパーティション構成は以下の通り。実ディスクは Grub2 を MBR に入れてブート選択を行っている。Grub の選択メニューを見ると、Linux システムは当然パーティション 6 から立ち上げるのだが、Windows はパーティション 2 から立ち上げて、パーティション 3 を C: として使うようだ。このパーティション 3 の Windows 上で VirtualBox を実行して、パーティション 6 の Linux システムを仮想マシンとして起動するのが今回の目的。
  • 1 (/dev/sda1): Recovery partition
  • 2 (/dev/sda2): Windows system reserved
  • 3 (/dev/sda3): Windows system (C:)
  • 4 (/dev/sda4): (Extended partition)
  • 5 (/dev/sda5): Windows data (D:)
  • 6 (/dev/sda6): Linux rootfs
  • 7 (/dev/sda7): Linux swap

VirtualBox から実パーティションを使う場合は、実ディスクのパーティション情報などを収めた仮想ディスク(ホスト上のファイル)を作成し、この仮想ディスクを仮想マシンのストレージとして割り当てる。仮想マシンで Linux システムを起動するためには仮想ディスクの MBR に Grub を入れる必要がある。そのためまずネイティブの Linux を立ち上げて、MBR をファイルとして保存する。
# dd if=/dev/sda of=sda.mbr bs=512 count=1


このファイルを Windows に持ってきてから、VirtualBox のコマンドで仮想ディスクを作成する。DOS 窓は管理者権限で実行すること。そうしないとディスクの作成に失敗する。
C:\Program Files\Oracle\VirtualBox>VBoxManage.exe internalcommands createrawvmdk
 -filename d:\virtualbox\raw_sda_ubuntu.vmdk -rawdisk \\.\PhysicalDrive0 -partit
ions 6,7 -mbr sda.mbr


これで実ディスクを反映した仮想ディスク raw_sda_ubuntu.vmdk が作成される。なお、仮想化環境からは Linux システム以外の実パーティションを触ってほしくない(というか、触られると壊れる)ので、パーティション 6 と 7 のみアクセス可能となるよう -partitions オプションを指定した。

さて、あとは仮想マシンを作成して raw_sda_ubuntu.vmdk をストレージとして割り当てれば、sda6 を rootfs として、つまりネイティブ起動時と全く同じ環境で Linux システムが立ち上がる。
めでたしめでたし。

・・・といいたいところだが、ここで問題、というか気に入らない点がひとつ。
当然ながら、Grub の設定ファイル(/boot/grub/grub.cfg)もネイティブ環境と仮想化環境で共有している。そのため Windows も Grub メニューに出てくるのだが、仮想化環境では必要ない。(Windows パーティションは中身を見せないように仮想ディスクを作ったので無意味)

ここからが今回の工夫どころ。この点を解決するため、/boot 用の仮想ディスクを作って VirtualBox ではここからブートするようにする。手順は以下。

  • VirtualBox の仮想メディアマネージャで仮想ハードディスクを作る。/boot なので 200MB もあれば足りるだろう。ここでは vb_boot.vdi として作成する。
  • 仮想マシンに vb_boot.vdi をストレージとして割り当てた後起動する。
  • vb_boot.vdi は /dev/sdb とかで見えているはず。(そのあたりは dmesg で確認) fdisk でパーティションの作成と mkfs.ext4 などでファイルシステムの作成(フォーマット)を行う。以降、こいつを「仮想環境用 /boot」と呼ぶ。
  • 仮想環境用 /boot ををマウントする。以下は ext4 でフォーマットした /dev/sdb1 を /boot_vb にマウントする例。
    # mount -t ext4 /dev/sdb1 /boot_vb
    
  • /boot の内容を仮想環境用 /boot にコピーする。
    # cd /boot
    # cp -a * /boot_vb
    
  • /etc/default/grub をお好みで書き換える。目的のためには GRUB_DISABLE_OS_PROBER=true なのだが、実は仮想化環境の Linux システムからは Windows システムが見えないように仮想ディスクを作成しているので、この書き換えはしなくても grub.cfg に Windows 用のエントリは作られない。今回はリカバリ用のエントリを消すため GRUB_DISABLE_LINUX_RECOVERY=true を指定したのと、Memory Test がうざいので /etc/grub.d/20_memtest86+ の実行属性を落としてエントリが作成されないようにした。
  • この後の二つの作業のため、仮想環境用 /boot を /boot にマウントし直す。/boot_vb にマウントしたままでも二重にマウントできるが、気持ち悪ければアンマウントしてからマウントする。
    # umount /boot_vb
    # mount -t ext4 /dev/sdb1 /boot
    
  • /dev/sda の MBR に Grub をインストールする。
    # grub-install /dev/sda
    
    これで /dev/sda の MBR にいる Grub は(仮想環境用 /boot):grub/grub.cfg を読み込むようになる。
  • /boot/grub/grub.cfg(今は仮想環境用 /boot の grub.cfg)を以下のコマンドで書き換える。
    # update-grub
    

これで OK。実マシンを起動する場合は Grub のメニューエントリに Windows, Linux の両方が表示されて選択可能だが、仮想マシンを起動した場合は Ubuntu しか出てこない。

だがしかーし!この方法にも以下の問題がある。
  • 仮想化環境でカーネルをアップデートすると、ネイティブ環境で立ち上げたときの Grub エントリからも Windos 用のエントリが消えてしまう。 仮想化環境では Windows 用パーティションが見えないので、/etc/grub.d/30_os-prober が Windows を見つけられないのだね。Linux システムを立ち上げることはできるので、ネイティブ環境で立ち上げて update-grub すれば直るけど・・・
  • 一方、ネイティブ環境でカーネルをアップデートした場合は、仮想環境用 /boot にそれが反映されない。ネイティブ環境では仮想ディスクなんて見えるわけないから当然だが。

これらは今のところしゃーないか、という感じ。カーネルをアップデートしたら、アップデート時と反対の環境への /boot のコピーと update-grub を忘れずに実行するってのが現状できることかな。
せめてもということで、仮想化環境で update-grub する手間を省力化するスクリプトを作っておいた。dmidecode で仮想化環境かどうか調べて、仮想化環境なら仮想環境用 /boot をマウント、実ディスク /boot と仮想環境用 /boot を同期、/etc/default/grub を書き換えて grub.cfg を生成、全部終わったら /etc/default/grub を元に戻すというもの。
/etc/kernel/postinst.d から実行して、ネイティブ環境と仮想化環境の grub.cfg を同時にうまいこと書き換えられるといいんだけど・・・今後の課題とします。

scrshot.jpg
んでお約束のスクリーンショット。VirtualBox はシームレスモードにしてあるので、Windows と Ubuntu のウィンドゥが混在している・・・だけならまだしも、Windows のタスクバーと GNOME のメニューバーが二列に並んでエラいことになってるなオイ。
右側の WikiPedia を出してる Chrome が Windows 上で、左側のターミナルと Ubuntu のページを出してる FireFox が Ubuntu 上で実行されている。ネットワークは NAT モードでつながるし、ホストの指定したディレクトリをゲストでマウントして共有できる、クリップボードが共有されているなど、なかなか便利。(便利機能はゲストに Guest Additions をインストールする必要あり)

続いてこちらもお決まりのベンチマーク結果。世界標準のベンチマークソフト「Linux カーネルコンパイル」で時間を計ってみた。ネイティブ環境と仮想化環境でかなり条件が違うので、参考程度に。

測定環境
  • CPU
    • Core i7 M620 (2.67GHz)
    • ネイティブ環境 ...2 cores, 4 threads
    • 仮想化環境 ... 2 cores, 2 threads
  • メモリ
    • ネイティブ環境 ... 8GB
    • 仮想化環境 ... 2GB
  • 仮想化設定
    • VT-x 有効
    • ネステッドページング 有効
  • ソフトウェア
    • ホスト ... Windows7 64bit
    • ゲスト ... Ubuntu 10.04 (kernel 2.6.32-24)
  • コンパイル対象: linux-2.6.35.5


時間かかるので、make allnoconfig; time make した結果を載せます(笑)。
「キャッシュ捨てる」と書いたのは make 前に echo 3 > /proc/sys/vm/drop_caches でページキャッシュを捨てた場合、「キャッシュ捨てない」は一旦コンパイルが終わった後に make mrproper; make allnoconfig してすぐまた make した場合です

測定結果
  • 仮想化環境
    • make: キャッシュ捨てる
      • real 2m14.481s
      • user 1m33.500s
      • sys 0m18.800s
    • make -j2: キャッシュ捨てる
      • real 1m32.091s
      • user 1m55.390s
      • sys 0m16.560s
    • make -j2: キャッシュ捨てない
      • real 1m11.100s
      • user 1m56.450s
      • sys 0m16.560s


  • ネイティブ環境
    • make: キャッシュ捨てる
      • real 2m8.108s
      • user 1m32.300s
      • sys 0m11.550s
    • make -j2: キャッシュ捨てる
      • real 1m21.167s
      • user 1m55.970s
      • sys 0m13.400s
    • make -j2: キャッシュ捨てない
      • real 1m1.354s
      • user 1m48.990s
      • sys 0m13.010s
    • make -j4: キャッシュ捨てる
      • real 1m3.407s
      • user 2m29.830s
      • sys 0m15.710s


流石にネイティブ環境よりは遅いけれど、高々 10% 程度のパフォーマンスヒットとはなかなかやるじゃないか。優秀優秀。
にしてもこの PC 速いな・・・技術の進歩ってやつでしょうか。

MIT Museum [徒然]

前々から行こう行こうと思ってて全然行ってなかった MIT Museum に行ってきた。場所はMIT のキャンパスと同じく Cambridge。ただし Museum はキャンパス内ではなく、歩いて10分くらいのところにある。Cambridge ってのは Boston から Charles River を挟んだ北側ね。と言っても田舎住まいの俺からすると Cambridge も Boston も同じようなもんだけど。銀座と有楽町みたいな。

mit_museum.JPG
Redline の Central で降り、Mass Ave. を Boston 方向に10分くらい歩いて到着。そんなに大した博物館ではなく、ただのビルです。大人一人 $7.50 なり。

一階はナノテクノロジー、脳科学、宇宙開発、生命科学などの説明展示が主体。その中で面白かったものを二点ほど紹介しましょう。

faces_out.JPG
まずこれ。有名人8人の写真(?)。知らない人もいるけど。
上の左から二番目、マリリン・モンローに近寄ってみると・・・
faces_in.JPG
なぜかアルバート・アインシュタインになってしまう。マリリン・モンローに限らず、近くで見ると全員アインシュタインに見えるようになっている。
どういうことかと言うと、この場所で怪死を遂げたアインシュタイン博士の怨霊を MIT の技術力で映像化することに成功した・・・わけではなくて、これはマリリン・モンローの写真の低周波成分と、アインシュタインの写真の高周波成分を合成して作ったものだそうな。だから遠くで見ると低周波成分だけが見えてマリリン・モンローに、近くで見ると高周波成分が良く見えるようになってアインシュタインになるということみたい。それにつけてもアインシュタイン博士の人気は偉大だ。ダリと並んで世界変顔大賞を差し上げたい。

why_to_space.JPG
続きましては宇宙のおはなし。「宇宙飛行の未来」ってんで今後のアメリカの宇宙計画をさらっと紹介するパネル展示なんだけど、そこに書いてあった有人宇宙飛行の目的定義に非常に感心したので紹介したい。超訳な上に少し長いが容赦願います。

なぜ有人宇宙飛行が必要なのか?

スペースシャトルと国際宇宙ステーションの役割、有人飛行範囲の拡大、それらに対する国際的な協力体制などに関連して、合衆国は現在、これまでになく重要な方針を策定するさなかにある。 これらを決定するためには、この究極的な疑問に答えなければならない。 「人はなぜ宇宙へと飛び立つのか?」 宇宙飛行は人類の経験を拡張する場合にこそ、多くの人の興味を惹く。経験とはつまり、新しい活動範囲、これまでにない状況、環境である。

基本的な条件

有人宇宙飛行の目的を考えるにあたって、MIT の SPS Research Group(MIT Space, Policy and Society Research Group)はその目的が満たすべき三つの基本的条件を定義する。
  1. 有人宇宙飛行の目的は、人間が直接そこに行くことでのみ達成されるものでなくてはならない。
  2. 有人宇宙飛行によって得られる利益は、その他の可能な手段を用いて得られる利益を凌駕する必要がある。
  3. 有人宇宙飛行の目的は、人命に対する明らかな危険性に見合うだけのものである必要がある。

第一目的

これらの基本的な条件を満たす、有人宇宙飛行の第一目的とは以下の通り。(注)
  1. 探査・探求
  2. 国威の発揚
  3. 国際社会における国家威信の向上

第二目的

これらはしばしば有人宇宙飛行の目的として挙げられ、そこから利益が得られるものではあるが、それ自身では有人宇宙飛行への投資と危険性を正当化できるものではない。例としては以下。
  1. 科学的調査
  2. 経済効果
  3. 技術開発
  4. 教育的効果
注:第一目的の英文は
  1. Exploration
  2. National pride
  3. International prestige
となっている。二番目と三番目は訳すとどちらも「国家の威信」となってしまうのだが、二番目は国民に対する内向きの訴求、三番目は米国外に対する外向きの訴求と考え上のように訳した。


この後、これに沿ってスペースシャトルの退役、ISS の2020年までの運用延長、月基地建設計画の開始などと具体的な提言を行っているが、長くなるのでこのくらいで。
なお一応述べておくと、MIT は一私立大学なので、これがアメリカ合衆国の国家方針そのものではない(もちろん NASA からお金をもらった上での研究成果を発表しているのだろうが)。ただ最近のニュースを見るに NASA の方針はこの提言にほぼ沿っているので、大きく影響を与えているようだ。

さて何に感心したのかというと、第一に目的定義をはっきりと行っているということ。皆さん承知の通り日本もつつましくロケットを飛ばしたり ISS に人を送り込んだりしているわけだが、その目的をはっきりと定義しているだろうか?宇宙開発といえば大事業だ。金も労力も莫大にかかる。目的を明確に定義しておかなければ、金と労力をどこまでかけるべきかの判断がつかないはずだが、どうもきちんと定義しているようには見えない。

そして更に驚くべきは定義された目的の内容だ。なんと「国家の威信」が三つ中二つを占めている。「基本的な条件」で述べているように、ここに挙げられた目的は時として人命よりも重んじられると考えられているものだ。つまり、国民への意識発揚と国家の威信は、命を賭ける価値のあるものだと言っている。その上で、科学技術の向上や経済効果などは二の次と明確に示している。
最近、「事業仕分け」なる政府予算の吟味が行われ、複数の科学技術的プロジェクトもその対象となったのは記憶に新しい。その席で政府側の人間はプロジェクト側の人間に対し、「これは何の役に立つのか?」という質問をしていた。もしプロジェクト側の人間が「国威の発揚に役立ちます」と答えたらどうなっただろうか?「もっと具体的に」と反論されることは想像に難くない。つまり上で言うところの「第二目的」に議論が落ちていくことになるのだろう。MIT の SPS Group が「それだけでは正当化できない」とバッサリ切り捨てているところに。
もちろん、国家の威信だの胡散臭いと考えることは自由だ。日本はそんなものに価値を置かないというのも結構。しかし、ではなぜ膨大な金をかけて宇宙開発を推進するのかという点について、MIT が示しているように日本の考えを確立すべきだと思う。そしてそれはプロジェクトの人間ではなく、むしろ政治側の仕事なのではないかと思うのだが、どうだろう。
個人的には「国家の威信」で大いに結構だと思っている。特に日本国民に向けての国威発揚は大いに行うべきだと思う。むしろ、自分が帰属する社会・団体・組織に対する誇りの喪失こそが日本の置かれた閉塞状況の原因の一つであり、日米で決定的に異なる強さの差ではないのか。
どうも我々は、戦中軍部が行ったミスリードを真に受けて未だに「愛国心」「国威発揚」は悪であると考えがちだが、全くそんなことはない。そもそも nationalism と patriotism という全く違う概念を「愛国心」という一つの言葉に押し込めていることに何者かの悪意を感じるのだが・・・それについては長くなるのでまた別の機会に。

MIT Museum に話しを戻そう。一階はそんなわけで二階に上がると、ロボティクス、人工知能(この二つは最近融合しているようだが)、遺伝子の働く仕組みなどの展示と、なぜかホログラム芸術作品の展示コーナーがあった。ホログラムで面白いのがあったので写真を一枚。
pcb.JPG
コンピュータ基板のホログラムで、基板の手前に虫眼鏡が置いてある。虫眼鏡もホログラムの一部なんだけど、ちゃんと虫眼鏡として機能している!ホログラムは立体的な光の軌跡を記録するので、こんなことができるんだね。
基板が今はなき「Degital Equipment Corporation」製なのは涙を誘いました。

展示はそんなところ。大して広くない、っつーかむしろ小さいので、1~2時間もあれば全部見て回れると思う。全体的に見て、ホログラムや脳科学、人工知能などの展示が多いところを見ると、人間の認知や知性が今の MIT の主な研究フィールドなのかな。

ついでなんで MIT のキャンパスにも散歩がてら寄ってきました。いやー、大学卒業してから結構経つもんで、懐かしいね。(誤解を招く発言)
これが本館っぽい建物。普通に道沿いに建ってる。上の方に「MASSACHVSETTS INSTITVT OF TECHNOLOTY」って書いてあるから、ああ MIT の建物なんだ、って分かる。U が V になってるからラテン語っぽいけど・・・ラテン語でも of は of なの?
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こちらはキャンパス内。体育館かな?こっちは大学っぽいね。
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更についでに、 Porter SQ というところに忠実に日本っぽい定食屋さんがあるのでそこまで散歩。途中にかの有名な Harvard 大学があります。自然科学の雄 MIT と人文・社会科学の雄 Harvard が歩いていける距離にあるってのも面白いね。
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なんか MIT に比べると、壁とかしっかりあって入りにくい雰囲気。これが establishment というやつか・・・。

このあと定食屋さん(Cafe Mami)でトンカツ定食食べて帰りました。

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